新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、各企業でリモートワーク (在宅勤務)の導入が進みました。緊急事態宣言が解除された現在においては、在宅勤務を今後も継続するかどうか、各社対応が分かれています。本記事ではコロナ禍を契機として広まった在宅勤務のその後をテーマに、在宅勤務を継続するメリットと課題、本格的に在宅勤務を推進する場合に必要となる対応についてご紹介します。
はじめに、緊急事態宣言が解除された後においても、在宅勤務継続を宣言している企業の例をご紹介します。
Twitter社では日本を含む全世界約5,000人の従業員を対象に、希望すれば永続的に在宅勤務を続けるとしています。Amazon、Microsoftでも10月まで、GoogleやFacebookは今年末までの在宅勤務を認めるとしています。
動画投稿サイトを手がけるドワンゴにおいては、在宅勤務によって生産性が高まったと判断し、7月にも本格的な在宅勤務をスタートさせると発表しました。
緊急事態宣言下において在宅勤務率95%超であったリクルートグループでは、解除後も引き続き在宅勤務を強く推奨しており、同時に出社する人数を組織単位で最大50%までを原則と定めています。
食品大手の味の素でも、生産部門などを除き、原則として在宅勤務を継続しています。日清食品ホールディングスでも極力感染リスクを避けるべく、オフィスへの出社人数を6月から25%に制限しています。
たとえば営業や研究開発など、在宅で実施可能な職務ばかりではありませんが、このコロナ禍において「働く場所」に対する概念に、大きな変化が起きていることは間違いありません。
参考:
https://toyokeizai.net/articles/-/351399
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60531060Y0A610C2TJ2000/?n_cid=DSREA001
https://diamond.jp/articles/-/241416
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新型コロナウイルス感染症対策として急拡大した在宅勤務ですが、その後も継続を決める企業が出てきていることには、大きく3つの理由があります。実際に在宅勤務を導入してみた結果として、(1)在宅勤務を希望する社員が多いこと、(2)生産性向上に期待できること、そして(3)オフィスコスト削減に繋がることです。
参考:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60486350Y0A610C2000000/
内閣府が2020年6月21日に発表した「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」によると、全国のテレワーク実施率は34.6%で、このうち継続を希望する割合は80%を超えました。テレワーク経験者はそうでない方より、ワークライフバランスに関する意識や、職業選択の意識にも変化があった割合が高い傾向にあります。
参考:https://www5.cao.go.jp/keizai2/manzoku/pdf/shiryo2.pdf
※実施期間は5月25日〜6月5日、インターネット調査で1万人以上から回答を得た。
前述の調査によると、テレワーク実施率の高い教育や金融、卸売業などの業種において、労働時間が減少している傾向がみられました。IT系を中心に在宅勤務を継続する意向を示す企業も一部出てきていることから、業種などによって差はありますが、在宅勤務により生産性が向上することへの期待が寄せられているといえます。
また、オフィスに出社して働く場合には、事故や天候などの影響で交通機関が遅延することや、通勤ラッシュと出勤時間帯が重なることは避けられません。そうした混雑を回避できる意味においても、在宅勤務は従業員のストレス軽減などに繋がるとも考えられます。
ただし、調査結果によると、仕事の効率性や生産性の変化については限定的であり、全体的にはまだ大きな効果が見込めているとは言えない点に留意する必要があります。
都心のオフィスに通勤する人数が減らせた場合、オフィスそのものの必要性を見直すことができます。実際にGMOインターネットグループでは1月末より原則在宅勤務の体制を継続し、オフィス運用コストの削減分を従業員へ還元する「オフィスコスト還元プログラム」を実施すると発表しています。
参考:https://www.gmo.jp/news/article/6741/
デスクや椅子など場所をとっていた設備費用が削減できますし、その分スペースが空くのであれば、これまでより家賃の安いオフィスを借りるなどで、固定費を大きく削減できることになります。都心のオフィスを借りる必要性もなくなる可能性があるのです。
しかし、在宅勤務を継続することには次の(1)〜(3)に示すような様々な課題があります。
在宅勤務の場合には、通信環境や家族の事情など、従業員個人によって様々な状況が想定されます。本格的に在宅勤務を定着させるためには、あらゆる環境整備が必要となります。
たとえば小さな子どもがいる家庭では、子どもを預けられないと業務に支障を来す可能性があります。保育園などに子どもを預けてから勤務を開始できるよう、フレックスタイム制を導入したり、数時間だけ休みを取得できるようにしたりするなど、従業員の状況に合わせて働き方を選択できるよう環境整備する必要があります。
柔軟な働き方ができるかどうかは、今後の職業選択にも影響する可能性があり、優秀な人材を確保するためにも必要な対応といえるでしょう。
従業員がオフィス外でいつ何の仕事をしているのか、休憩しすぎていないかなど、勤怠の把握を透明化することは必要不可欠といえます。在宅でも始業・終業などを簡単に登録できる仕組みや、進捗を可視化する仕組みを用意することが大切です。
在宅勤務ではオフィス勤務よりも個人の裁量で業務を推進する力が求められます。長時間労働に対してではなく、成果物に対して、適切な評価が行える仕組みを整えていく必要があります。
セキュリティ面においてもオフィスとは異なる環境になるため、対策が必要です。在宅でパソコンを利用する場合には、オフィスのパソコンで仕事をするよりも攻撃を受けやすくなります。セキュリティ対策ソフトの導入や、リスクの高いメールを監視するツールの導入、パスワード設定ルールを厳格化するなど、状況に合った対策を施しましょう。
在宅勤務に移行して多くの方が直面した課題の一つに、紙書類の取り扱いがあります。社内の稟議書などのやり取りを紙ベースで行っている場合、書類を回覧したり、捺印したりするために出社せざるを得なかった方もいるでしょう。在宅勤務を可能にするためにはペーパーレス化を進めることが前提であるため、まずはそれらの課題を解決しなければなりません。
最後に、在宅勤務本導入に向けて取り入れておきたいツールを4種類ご紹介します。
対面での打ち合わせができなくなる以上、Web会議システムの導入は必須といってよいでしょう。「リモート飲み会」などの言葉も一般に普及し、このコロナ禍でZoomをはじめとするWeb会議システムは存在感を増しています。 この他、MicrosoftのSkypeやGoogleのGoogle Meetなど、様々なツールが登場しています。
在宅勤務では、Webブラウザを通じて打刻が可能なクラウド型勤怠管理システムの利用が推奨されます。実績は自動集計され、不正な操作をすることは難しい仕組みのため、労働状況を正確に可視化できるだけでなく、労務管理業務が効率化できるといえます。近年厳格化された残業時間の上限管理や有給消化状況についても、把握しやすくなるでしょう。
在宅勤務においては、オフィスに比べてサイバー攻撃のリスク、情報漏洩リスクにさらされやすいため、強固なセキュリティ環境を構築することが必要不可欠です。
業務に利用するノートパソコンなどの端末は、セキュリティ対策を施した上で、基本的には会社から貸与することが望ましいでしょう。外部から社内の環境へアクセスする際には、リモートアクセスツールが必要となります。厚生労働省では、リモートデスクトップ方式、クラウドアプリ方式、VPN方式といった月額制のツールの利用を推奨しています。
参考:https://telework.mhlw.go.jp/intro/tool/
前述のように、ペーパーレスが進まないことには在宅勤務を継続することは難しいため、自宅など様々な環境からも会社の書類を閲覧・回覧・押印できる、電子決裁システムの導入が有効です。シヤチハタが提供する「Shachihata Cloud(シヤチハタクラウド)」は、1ユーザーあたり月額110円(税込)から導入が可能な、クラウド型の電子決裁サービスです。社内の稟議申請書や届出書、見積書、請求書、注文書といった書類を電子化し、パソコンやスマートフォンのブラウザ経由でアクセスして捺印・回覧できます。
在宅勤務の導入が進み、電子決裁システムなどそれを支えるためのサービスも充実が図られてきています。このコロナ禍を契機に、会社として働き方を見直し、柔軟な対応を取ることが今まさに求められています。在宅勤務の本導入に向けて、まずはそれを支える仕組み作りを検討してみてはいかがでしょうか。
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