この記事でわかること
事後稟議とは、本来は事前に承認を得るべき支出や契約、発注などについて、実行後に承認を求める手続きです。やむを得ない事情で発生する場合もありますが、常態化すると、社内ルールの形骸化や不正、予算超過などのリスクにつながります。事後稟議を減らすには、発生原因を把握し、申請しやすい承認フローや明確な社内ルールを整えることが大切です。本記事では、事後稟議の意味や通常の稟議との違い、発生する原因、防止策を解説します。

事後稟議とは、本来であれば事前に承認・決裁を受けるべき支出、契約、発注などについて、実行した後に承認を求めることです。これに対し、通常の稟議は、担当者が起案した内容を関係者に回覧し、承認を得たうえで、最終決裁後に実行へ移します。
事後稟議は、緊急対応などの事情により例外的に認められる場合もあります。ただし、どのような条件で認めるのか、実行後にどのような報告や手続きが必要なのかは、企業ごとの稟議規程や職務権限規程によって異なります。自己判断で進めず、自社のルールを確認することが大切です。
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事後稟議は、緊急対応や突発的な支出など、通常の承認を待つことが難しい場面で発生しやすくなります。たとえば、急ぎの修理や取引先対応など、先に実行しなければ業務に支障が出るケースです。一方で、稟議対象や申請期限、承認者のルールが社内に十分周知されていない場合にも、事後稟議が起こる可能性があります。担当者が「事前申請が必要な案件」と理解していなければ、自己判断で発注や契約を進めてしまう恐れがあるため注意が必要です。

事後稟議は、やむを得ない事情で発生することもあります。しかし、理由や対応方法を確認しないまま認め続けると、稟議制度そのものの効果が薄れます。
事後稟議のリスクとしては下記の3点が挙げられます。
特に、支出や契約に関わる手続きでは、会社全体のリスク管理にも影響するため注意が必要です。それぞれについて詳しく解説します。
事後稟議が常態化すると、本来は実行前に行うべき確認や承認が機能しにくくなります。結果として、「後から承認を取ればよい」という意識が広がり、稟議手続きが形式だけのものになりかねません。特に、上場準備や内部統制の整備を進める企業では、承認ルールが適切に運用されているかが重視されます。事後稟議が発生した場合は、例外として認める条件、報告方法、再発防止の流れを社内で統一しておくことがポイントです。
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契約や取引を実行した後では、承認者が金額の妥当性、契約条件、代替案、必要性などを事前に確認する機会を失います。後から問題が分かっても、すでに発注や契約が済んでいると中止や条件変更が難しくなり、その結果、会社側に損失が生じたり、追加対応が必要になったりする恐れがあります。特に、高額な支出や重要な契約では、実行前に財務、法務、上長など必要な決裁者の確認を通すことが重要です。事後稟議を減らすために、案件の重要度に応じた事前確認の流れを明確にしておきましょう。
自社の稟議規程や職務権限規程で事前承認を求めているにもかかわらず、実行後の承認が多い状態になっていると、監査で指摘を受ける可能性があります。特に、支出や契約に関する手続きでは、誰が、いつ、どのような理由で承認したのかを確認できる状態にしておくことがポイントです。やむを得ず事後稟議になった場合は、事後になった理由、事前相談の有無、実行判断をした担当者、再発防止策などを記録しておきましょう。記録が残っていないと、例外的な対応だったのか、単なる手続き漏れだったのかを判断しにくくなります。

事後稟議が発生した場合は、下記2点の対応が特に重要です。
事後対応を後回しにせず、速やかに状況を整理しましょう。あわせて、再発防止につなげるための記録も残しておきましょう。
事後稟議が判明した場合は、そのまま放置せず、まず自社の稟議規程や決裁ルールを確認しましょう。そのうえで、上長や管理部門へ速やかに報告し、必要な手続きを進めます。緊急時の対応や、事後稟議を例外として認める条件が定められている場合は、そのルールに沿って申請することが大切です。また、すでに実行した案件について、追加支出を止める必要があるか、契約条件を変更できるか、他部署への影響があるかも確認しましょう。関係部署と連携し、会社としてどのように対応するかを早めに整理することが重要です。
上長や管理部門への報告と並行して、事後稟議書を作成し、実行に至った経緯を明確にします。その際、すでに行った内容を時系列で分かるように記載します。実施日、支出額、契約先や発注先、実施した業務内容などを整理し、承認者が状況を確認できるようにしましょう。さらに、なぜ事前申請ができなかったのか、緊急性や判断の経緯を具体的に書くことがポイントです。事前に上長や関係者へ相談していた場合は、誰に、いつ、どのような内容を相談し、どの範囲まで了承を得ていたのかを示します。単に「急ぎだった」と書くだけではなく、事後になった理由と対応経緯が分かる内容にします。

事後稟議を減らすには、担当者の注意だけに頼るのではなく、事前に申請しやすいルールと仕組みを整えることが大切です。事後稟議の防止策を作成する際は、下記のポイントを押さえましょう。
申請期限や対象案件を明確にし、必要に応じてシステムも活用することで、承認前に支出や契約が進むリスクを抑えやすくなります。それぞれについて詳しく解説します。
事後稟議を防ぐには、まず申請期限と稟議ルールを社内に徹底することが重要です。契約締結日、発注日、支払日などの実行予定日から逆算し、余裕を持って申請できる期限を設定しましょう。あわせて、どの支出・契約・発注が稟議対象になるのか、金額ごとの決裁権限、必要書類、申請期限を規程やマニュアルで明確にします。新入社員や異動者には、研修や定期的な周知を通じてルールを共有し、「知らなかった」「忘れていた」による事後稟議を減らしましょう。緊急時に事前稟議が難しい場合の基準や相談先、事後申請の期限も例外ルールとして定めておくと安心です。
事後稟議を減らすには、ワークフローシステムの活用も有効です。たとえば、承認が完了するまで発注や契約を進められない流れにすれば、担当者の判断だけで実行されるリスクを抑えられます。また、申請期限を設定し、期限が近づいたらリマインド通知が自動で届くようにすれば、申請漏れの防止にもつながります。ただし、システムだけで事後稟議を完全に防げるわけではありません。稟議規程、申請期限、緊急時の例外ルールを整備したうえで、システムと組み合わせて運用することが大切です。
事後稟議を減らすには、申請から承認、決裁までの流れを可視化し、実行前に必要な承認を完了できる仕組みを整えることが大切です。Shachihata Cloud ワークフローは、合議、差し戻し、追加承認などを含む承認ルートに柔軟に対応し、社内の決裁フローを電子化できます。
承認の滞留をリアルタイムで可視化できるため、誰の確認で止まっているのかを把握しやすく、承認待ちのまま契約や発注が進んでしまうことを防ぎやすくなります。また、利用状況や回覧状況、ユーザー・権限などを管理できるため、承認業務の標準化や内部統制の強化にも活用できます。紙やメール中心の稟議運用を見直したい企業にも適しています。
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事後稟議は、緊急対応などでやむを得ず発生する場合もありますが、原則として避けるべき手続きです。常態化すると、承認ルールが形だけになり、支出や契約のリスクを事前に確認できません。事後稟議を減らすには、稟議対象や申請期限、例外ルールを明確にし、社内へ継続的に周知することが重要です。あわせて、ワークフローシステムを活用し、申請・承認の進捗を可視化することで、事前承認を徹底しやすくなるでしょう。
