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業務委託契約書は電子契約が可能?文書の電子化に関する法律や契約の流れも解説

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業務委託契約書は電子契約が可能?文書の電子化に関する法律や契約の流れも解説

業務委託契約書は、外部の専門家や企業に業務を委託する際に結ぶ重要な契約書です。近年では、電子契約の導入が進み、書類を紙で交わす手間を減らせるようになっています。本記事では、業務委託契約書における電子契約の可否や、文書の電子化に関わる必要な法律、電子署名を用いる際のポイント、そして具体的な締結方法や契約までの流れについて解説します。電子契約化によるメリット・デメリットもあわせて知ることで、スムーズで信頼性の高い契約プロセスの構築に役立てましょう。

業務委託契約書とは何か

業務委託契約書とは何か

業務委託契約書とは、自社が特定の業務を外部の専門家や他社に任せる際に結ぶ契約文書です。この書面には、業務内容や報酬、納期、責任範囲などが明記され、双方が納得できる条件で合意を示すために必要となります。

業務委託契約書の必要性

業務委託契約書は、後々のトラブルを防ぐ重要な役割を果たします。口頭だけの合意だと条件が曖昧になり、万が一の紛争時に証拠不十分となる恐れがあるからです。一方、契約書として文書化することで、業務範囲や対価、納期などのポイントが明確になり、万が一問題が起きた場合も根拠を示しやすくなります。また、業務委託契約書は事業者側も受託者側も、後から見直しや確認がしやすく、どのような締結内容で合意したかを常に把握できます。こうした理由から、契約成立時には業務委託契約書の作成が必要とされます。

業務委託契約書も電子契約は可能か

業務委託契約書は、基本的に電子契約で取り交わすことが可能です。法的な問題がない限り、紙の契約書でなければならないというルールはなく、インターネット上で契約書データを交わし合うことで有効な契約として成立します。ただし、電子契約を有効に機能させるためには、改ざんを防止し、真正な合意を示す電子署名の利用が推奨されます。また、電子契約に対応したシステムやツールを導入することで、契約書へのアクセスや保管、検索がスムーズになります。

法的にも、民法や電子契約関連の法制度が整備されているため、業務委託契約書を電子化して締結しても有効性は認められています。重要なのは、電子化された契約書が必要事項を正確に満たし、双方が適切な手順で承認・署名を行うことです。これにより、業務委託契約書は紙ベースと同等の信頼性をもって運用できます。

文書の電子化に関する主要な法律

文書の電子化に関する主要な法律

業務委託契約書を電子化する際には、電子契約に関連する法律やガイドラインを理解しておくことが重要です。ここでは、文書の電子化において注意すべき主要な法律を紹介します。

法律1:電子署名法

電子署名法は、紙の押印に相当する電子署名の法的有効性を定めた法律です。この法律によって、正当な電子署名が付与された電子文書は、紙書面に押印されたものと同様の証拠力を持つとみなされます。ただし、有効な電子署名を成立させるためには、署名者が特定でき、署名後の文書が改ざんされていないことを確認できる技術的な仕組みが必要です。これにより、業務委託契約書を電子契約で交わす際も、信頼性の高い電子署名を用いることで法的な問題なく締結できます。

法律2電子帳簿保存法

電子帳簿保存法は、帳簿書類を電子的に保存する際の要件を定めた法律です。一定の条件を満たせば、請求書や領収書などの取引証憑を電子データで保管できます。この法律によって、紙での保管義務が緩和され、契約書類のアーカイブも電子化しやすくなります。ただし、検索性や改ざん防止措置など、所定の基準を満たす必要があるため、対応するシステム導入が求められます。

法律3:IT基本法

IT基本法(高度情報通信ネットワーク社会形成基本法)は、社会全体でIT活用を推進するための基本理念を示す法律です。特に契約手続きや文書管理のデジタル化に関する直接的な規定はないものの、IT社会の進展により、法制度が電子契約や電子文書管理へ順応していく基本方針を示しています。これにより、業務委託契約書の電子化も円滑に進めやすい環境が整えられています。

法律4:電子記録債権法

電子記録債権法は、貸付金や売掛金などをデータとして管理することを認める法律です。本来、債権は紙の証書で管理されてきましたが、この法律により電子的な記録による債権管理が可能となりました。これが意味するのは、業務委託契約による報酬債権などを含む取引関係を、電子記録で安全かつ確実に管理できるということです。この法整備が進む中で、業務委託契約書の電子化も実務上より行いやすくなっています。

業務委託契約書を電子化するメリット・デメリット

業務委託契約書を電子化するメリット・デメリット

業務委託契約書を電子契約に移行することで、業務効率化やコスト削減などさまざまなメリットが期待できます。しかし、一方で改ざんリスクなどデメリットも存在します。ここではその概要を解説します。

メリット

業務委託契約書を電子化するメリットは大きく、まずコスト削減が挙げられます。紙の契約書を郵送したり、印刷・保管する手間や費用が省けたりするため、契約手続きが効率化します。また、電子契約はスピーディーで、遠方の取引先とも時間や場所を問わず契約締結が可能です。

さらに、電子検索やフォルダ分けで文書の管理性が向上し、必要な契約書をすぐに見つけられます。加えて、電子署名技術やタイムスタンプを活用すれば、改ざん防止効果が強まり、法的な有効性を確保できます。これによって、業務のスムーズな進行だけでなく、後から問題が発生した際にも対応しやすくなります。結局のところ、業務委託契約書を電子契約化することで、コスト・時間・労力を削減しながら、高い信頼性と利便性を確保することが可能になります。

デメリット

業務委託契約書を電子化する際には、デジタルデータの改ざんリスクが存在します。万が一、悪意ある第三者が契約データを不正に書き換えた場合、双方が締結したはずの条件が異なる形で保存されてしまう可能性があります。

このリスクを軽減するには、セキュリティ対策を強化することが重要です。具体的には、電子署名の適切な運用や堅牢なアクセス制限、改ざん検知システムの導入が必要となります。また、信用できるクラウドサービスや電子契約プラットフォームを利用することで、改ざんリスクを抑え、安全な契約環境を整えることができます。

業務委託契約書を電子化する3つの方法

業務委託契約書を電子化する3つの方法

業務委託契約書を電子化する際には、いくつかの方法があります。ここでは代表的な3つのやり方を紹介します。

方法1:電子契約サービスを利用する

契約専門の電子契約サービスを導入することで、クラウド上で契約書の作成、電子署名による締結、データ保管が一元管理できます。これらのサービスは使いやすい操作画面を備え、改ざん防止やアクセス権限管理にも対応しているため、セキュリティ面で安心です。また、郵送・印刷コストを抑え、締結までの時間を短縮できる点も魅力です。

方法2:PDFなどのファイル形式で保存し、電子署名を付与する

既存の紙契約書をスキャンしてPDF化し、電子署名ツールで署名を付与する方法です。コストを抑えながら、徐々に電子化へ移行できます。ただし、署名の真正性や改ざん防止を確保するには、信頼できる電子署名手段の導入が求められます。

方法3:自社開発のシステムやクラウドストレージを利用する

独自のシステムや一般的なクラウドストレージを用いて契約書を保管し、電子署名ツールを組み合わせる方法もあります。この場合、使い慣れた環境で運用できる反面、セキュリティやコンプライアンス対応を自社で担う必要があり、十分な運用設計が不可欠です。

業務委託契約書を電子契約する際の流れ

業務委託契約書を電子契約する際の流れ

実際に業務委託契約書を電子契約で締結するには、事前準備や合意形成、署名作業など、いくつかのステップを踏みます。以下では、その流れの概要を示します。

ステップ1:電子契約環境の整備

まず、電子契約に対応したシステムやサービスを導入します。社内でのルール作りや権限設定、必要なツール(電子署名やタイムスタンプ)の選定を行い、運用体制を整えましょう。こうした準備によって、次のステップでの契約書作成や署名がスムーズになります。

ステップ2:契約書の作成

電子契約サービス上で業務委託契約書のひな形を作成します。業務範囲や報酬、納期、責任分担などを明確に記載し、後から見直しできるようにします。文書完成後は、誤字・脱字や記載漏れがないか最終確認を行い、関係者にも確認を依頼します。

ステップ3:相手方への送付

完成した契約書データを、取引先(相手方)へオンライン経由で送付します。取引先側は自宅やオフィスから閲覧可能で、時間や場所の制約が少ない点が電子契約の利点です。必要に応じて、チャットやメールで質問・修正依頼を行います。

ステップ4:内容合意・修正

取引先が契約書内容を確認した上で、必要な修正や条件変更を提案します。双方が納得するまで、オンラインで修正を繰り返すことで、紙のやり取りよりもスピーディーに合意形成ができます。

ステップ5:電子署名の付与

契約内容が固まったら、電子署名を付与します。電子署名ツールを使用し、署名者本人であることが確認できる形で署名を実施します。これにより、契約書の真正性と有効性が担保されます。

ステップ6:契約完了・保管

電子署名が完了すると、契約は正式に成立です。契約書データはクラウド上に保管され、後からの参照や更新が容易です。バックアップやアクセス権限の管理も行い、セキュアな状態で契約書を保持します。

まとめ

まとめ

業務委託契約書は、法的有効性を確保しながら電子契約で交わすことが可能です。電子署名や関連法律への対応により、紙ベースと同等の信頼性が得られ、コスト削減や業務効率化も期待できます。

ただし、改ざんリスクへの対処や運用体制の整備は欠かせません。電子契約サービスの導入や適切なセキュリティ対策、手順の明確化によって、安全かつスムーズな契約締結を実現できます。これから電子契約を検討する企業にとって、業務委託契約書の電子化はビジネスの加速とトラブル回避に役立つ有用な選択肢となるでしょう。

WRITER
宮沢 明香里
デジタル認証事業部カスタマーサクセスマネージャー
住設メーカーの営業・企画業務を経験後、2021年シヤチハタ株式会社へ入社。 デジタル商材の営業を経て、現在はShachihata Cloudをさらに活用してもらうため、 クライアント向けセミナーや新機能リリースの企画業務を行う。
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