現代のビジネス環境では、情報のやり取りが日々の業務の中心となっています。特にファイルの送受信は、企業活動において避けては通れない要素です。しかし、セキュリティの確保、大容量ファイルの送信、PPAPなど、多くの課題が存在します。これらの課題を解決し、より効率的なビジネス運営を目指すためには、「ファイル転送サービス」の活用がひとつの解となります。この記事では、ファイル転送サービスとは何か、ファイル転送サービスがどのようにこれらの課題を解決し得るのか、その具体的な方法について解説します。
企業が取引先等とファイルのやりとりを行うには多くの課題があります。ここでは、企業のファイル送信に関する課題と、その解決策となりうるファイル転送サービスの概要について解説します。
企業が外部とファイル送信を行うには多くの課題がありますが、主要な課題は下記の通りです。
企業が扱うファイルには、機密性の高い情報が含まれています。こうした情報を扱う際、情報漏洩のリスク、データの改ざん、そしてアクセス管理の難しさが課題として挙げられます。
不正アクセスやマルウェアの攻撃によって機密情報が外部に流出したり、データの改ざんが行われることが懸念されます。これは企業にとって重大なセキュリティ上の脅威であり、顧客の信頼を損なうだけでなく、法的な責任を問われる可能性もあります。
アクセス管理については、企業内でどの従業員がどのファイルにアクセスできるかを適切に管理することを指しますが、特に大企業や複数部門を持つ組織では、適切なアクセス権の管理が複雑になりがちであり、不適切なアクセス権の付与により情報漏洩などのリスクが高まります。
数メガバイトから数百メガバイトといった容量の大きなファイルを送る際も課題があります。まず、送信制限の問題があります。多くのメールサービスでは、送信できるファイルのサイズに制限が設けられているケースがあります。これは、動画や大容量のプレゼン資料など、大きなファイルを日常的に扱う業種にとって大きな障害となります。また、送信に時間もかかり、受信側でもメールボックスの容量制限によってファイルを受け取れない可能性があります。
PPAPとは、「Password付きZIPファイルを送ります、Passwordを送ります、Angoka(暗号化)Protocol(プロトコル)」の略称で、メールでパスワード付きのZIPファイルを送り、その後、別メールでパスワードを送るというファイル共有方法です。ファイルを展開するために手間がかかり、ZIPファイルはマルウェア対策ソフトによるチェックをすり抜けます。また、そもそもZIPファイルは暗号強度が低く、比較的容易に解読されてしまうリスクもあります。さらに、双方でZIPファイルを送り合うことにより、取引先の企業も同様のセキュリティリスクに晒されます。近年では日本政府もPPAPの使用廃止を発表(※1)しており、ビジネスの世界でも脱PPAPの流れが加速しています。
※1参考:平井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年11月24日
ファイル転送サービスとは、特定の相手とファイルを送受信することを目的として提供されているサービスです。一般的に、インターネットを介して提供されるクラウドサービスの形態で提供されており、インターネットさえ利用できれば、いつでも、どこからでもファイルの送受信が可能です。高い利便性とセキュリティを備えていることが特徴であり、ビジネスの効率性を大幅に向上させると同時に、セキュリティ面でもインターネット上の堅牢なサーバー上で適切にファイルを保護することが可能です。
ファイル転送サービスはファイルの送受信において有力なソリューションですが、具体的にどのような機能を有しているのでしょうか。ここでは、一般的なファイル転送サービスが持つ主要な機能と、それによるメリットについて解説します。
ファイル転送サービスを使用することで、従来の方法では難しかった数百メガバイトクラスの大容量ファイルでも簡単かつ迅速に送受信することが可能になります。業務で扱う大容量のメディアやドキュメントを効率的に共有できます。
ファイル転送サービスは、送信されたファイルの詳細な利用履歴がわかるようになっています。これにより、どのファイルがいつ、誰によって送られ、受信されたかを正確に追跡できます。また、不正アクセスや情報漏洩のリスクを解決する上で重要な監査証跡として機能します。この機能は、法的要件の充足においても重要な機能と言えます。
セキュリティはファイル転送サービスの最も重要な機能の一つです。通信の暗号化により、ファイルが送信時から受信まで保護され、外部の攻撃者による不正アクセスやデータの改ざんから守られます。さらに、ファイルアクセスの厳密な管理により、送信者は特定の受信者のみがファイルにアクセスできるよう制御できます。
送信ファイルはインターネット上の堅牢なサーバーで保護されるため、パスワードを使用せず、PPAPからの脱却も実現できます。脱PPAPにより、セキュリティ強化と利便性の向上、そして、取引先企業のセキュリティを守ることにもつながるため、企業価値の向上も期待できます。
さまざまなメリットを持つファイル転送サービスですが、具体的にどのように使用するのでしょうか。最後に、一般的なファイル転送サービスの利用手順について解説します。
利用者はまず、ファイル転送サービスのWebサイトまたはアプリケーションにアクセスし、ログインします。そして受信相手のメールアドレスを登録し、送信したいファイルを選択してサーバーにアップロードします。この段階では、ファイルをサーバーに安全に転送するために、送信経路は暗号化によって保護されることが一般的です。大容量のファイルでも問題なくアップロードできます。
ファイルのアップロードが完了すると、サービスはそのファイルへのアクセスリンクを生成します。そして、先ほど登録した受信相手のメールアドレスに対して、このリンクを送信します。リンクの有効期限やダウンロード回数など、アクセス条件を設定できるサービスもあり、送信者はファイルの共有に関して適切にコントロールを行うことが可能です。
受信者は送信されたリンクをクリックすることで、ファイル転送サービスのダウンロードページにアクセスします。特別なソフトウェアをインストールする必要はなく、ウェブブラウザから直接ファイルをダウンロードできるため、受信側では特に何も準備する必要がなく、高い利便性を持っています。ファイルは受信者のデバイスに安全にダウンロードされ、一連のファイル送受信が完了します。
ビジネスの内容など機密性の高いファイルを手早く送受信するには、メールなど従来の方法に代わるファイル転送方法を採用することが大事です。ファイル転送サービスは、高いセキュリティに保護されており、大容量ファイルの送信も可能であり、非常に有効な対策のひとつと言えます。
Shachihata Cloudは、ファイル転送のために「ファイルメール便」という機能を提供しています。最大500MB×10ファイルの大容量ファイルにも対応しており、いつ、誰が、どのようなファイルを、誰に送信したのかがわかる利用履歴の管理も可能です。ファイルメール便により、脱PPAPも可能です。
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ファイル転送サービスの採用を検討する際は、ビジネスの要件、セキュリティポリシー、サポート内容、予算などを総合的に考えて検討することが必要です。ユーザーの満足度が高まるサービスを利用して、業務効率の改善につなげてみてください。