この記事でわかること
契約業務は、取引の開始から契約締結、締結後の保管・管理まで幅広い対応が求められる重要な業務です。ただし、紙の契約書やメール、押印、社内承認が混在すると、確認漏れや締結遅延、管理負担が発生しやすくなります。本記事では、契約業務の基本的な流れやよくある課題を整理し、業務を効率化する具体的な方法について解説します。

契約業務とは、契約審査の依頼を受けてから、契約書の作成、内容確認、相手方との交渉、契約締結、締結後の保管・管理までを行う一連の業務です。主に法務部門が担当しますが、法務部門がない企業では総務担当者が対応したり、必要に応じて外部の弁護士へ確認を依頼したりすることが一般的です。契約内容では、取引条件や責任範囲、トラブル時の対応を明確にする必要があるため、契約業務の正確性とスピードの両立が求められます。

契約業務は、契約の依頼を受けてから締結後の保管・管理など、複数の工程に分かれています。各工程で確認すべき内容や関係者が異なるため、流れを把握しておくことが重要です。契約業務の主な流れは、以下のとおりです。
4つの流れについて詳しく解説します。
契約業務は、契約が必要となった部門から契約審査や契約書作成の依頼を受け付け、法務部門内で対応する担当者をアサインします。そのうえで、担当者と依頼者が打ち合わせを行い、取引の概要、契約上の留意事項、締結希望日を含めたスケジュールなどを共有しましょう。最初に必要情報をそろえることで、以降の審査や作成、相手方との調整を円滑に進められ、手戻りの防止にもつながります。
契約の相手方が契約書のドラフトを作成した場合は、契約書の内容を詳細に確認し、必要に応じて修正を依頼します。自社で契約書を作成する場合は、ひな形があればその内容に沿って作成する流れです。高額な取引や継続的な取引など、リスクが高い契約では、社内判断だけで進めず、必要に応じて外部の専門家に作成や確認を依頼することもあります。契約内容に応じて確認範囲を見極め、慎重に進めることが重要です。条項の抜け漏れにも注意してください。
契約書の内容確認や修正が完了したら、必要に応じて契約の相手方と契約書の内容について協議し、取引条件や責任範囲、支払条件などを確認の上、双方が合意に至った段階で契約を締結します。契約締結の方法には、紙の契約書に押印して取り交わす方法と、オンライン上で手続きを完結できる電子契約の2つがあります。自社の運用や相手方の対応状況、締結までの期限を踏まえて選択しましょう。締結権限や押印者の確認も必要です。
取引先との間で何らかのトラブルが発生した際には、契約内容の確認が必要になるため、締結後の契約書は、すぐ取り出せる状態で保管しておくことが重要です。紙の契約書も電子契約データも、保管場所や閲覧権限を明確にしておきましょう。情報保護や業務効率化の観点からも、検索しやすく、関係者だけが確認できる適切な方法で管理することが大切です。更新期限や終了日の確認にも役立ち、管理漏れを防げます。

契約業務では、法的な確認、社内外との調整、契約書の保管管理など、複数の対応が発生します。事業部門と法務部門の連携が不十分な場合、確認漏れや締結遅延につながることがあるため注意が必要です。ここでは、契約業務で起こりやすい、以下の課題について解説します。
契約業務には、契約条項の意味やリスクを判断するための一定の法的知識が求められます。しかし、契約の相手方と直接接点を持つことが多い事業部門が、十分な法的知識を持っているとは限りません。事業部門だけで契約内容を判断すると、不利な条件を見落とす可能性があります。適宜法務部門と連携し、不足している知識を補いながら契約業務を進めることが重要です。
契約書の内容についてやり取りする場合、一般的には双方の法務部門が直接交渉するのではなく、事業部門を経由します。そのため、情報の伝達に時間がかかり、締結までの期間が長引くことがあるでしょう。また、自社の法務部門の意図が相手の法務部門や事業部門に正確に伝わらないと、交渉がスムーズに進まないケースも考えられます。必要に応じて法務部門が契約の場に同席するなどの対応が必要です。
紙で契約書を保管する場合、誤って廃棄されたり、適切な場所に保管されなかったりするリスクがあります。必要な契約書をすぐに探し出せないと、トラブル発生時の確認にも時間がかかるため注意が必要です。また、誰でもアクセスできる場所に保管している場合、契約書の持ち出しによる情報漏洩のリスクもあります。紙の契約書を扱う場合は、保管場所や閲覧権限を明確にし、厳格に管理することが大切です。

契約業務を効率化する方法としては、下記の3点が挙げられます。
自社の状況や課題に合わせた改善策を講じることが重要です
それぞれについて詳しく解説します。
まずは、現状の業務フローを洗い出し、契約依頼から審査、承認、締結、保管までの流れを可視化します。そのうえで、無駄な作業や重複している手順、担当者ごとに異なる運用がないかを確認し、課題を明確にしましょう。ビジネス環境の変化などによって、最適な業務フローは変化していくため、一度整備して終わりではなく、定期的なサイクルで見直すことが効率化につながります。
法務部門と事業部門の連携強化は、契約業務の効率化につながります。事業部門は、契約の背景や目的、取引上の重要事項を法務部門に正しく伝える必要があります。一方で、法務部門も事業活動の意図を理解したうえで、契約内容の確認やリスク判断を行うことが大切です。双方の認識がずれていると、確認や修正に時間がかかるため、日頃から相談しやすい良好な連携体制を築く努力が必要です。
電子契約システムを導入すると、契約書作成から承認、締結、管理までの一連の流れを一元化できます。システムを活用すれば、契約書のフォーマットを統一でき、共通事項を自動入力にするなど、作成業務の効率化も可能です。また、誰がどの段階で承認しているのかを可視化できるため、承認フローの管理も容易になります。紙の契約書を回覧したり、メールで進捗を確認したりする手間を減らせるため、契約締結までに要する時間の削減にもつながるでしょう。

契約業務を効率化するには、業務フローの見直しや部門間連携の強化に加えて、電子契約システムの活用が有効です。電子契約であれば、契約締結のために紙の契約書を印刷・製本・郵送する必要がなく、オンライン上で手続きを進められます。契約書の確認や承認状況も把握しやすくなるため、締結遅延や確認漏れの防止にもつながります。紙中心の運用に課題がある場合は、電子契約システムの導入を検討しましょう。

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